井上広法住職ってこんな人
お坊さんになった経緯
1979年、宇都宮市生まれ。
佛教大学で浄土学を専攻したのち、東京学芸大学で臨床心理学を専攻。仏教と心理学の立場から現代人がより幸せに生きるヒントを伝える僧侶として活動している。2014年から、マインドフルネスをベースとしたワークショップ「お坊さんのハピネストレーニング」を開始。全国各地の寺院・学校・企業で熱弁をふるい、女性誌「an・an」や東洋経済オンラインなど様々なメディアでも取り上げられた。また、お坊さんバラエティ番組「ぶっちゃけ寺」(テレビ朝日系)の立ち上げに関わり、企画アドバイスを行うと共に、自らも同番組に出演。よりよく生きる智慧としての仏教をやさしく面白くお茶の間に届ける役割を担った。
著書に「心理学を学んだお坊さんの幸せに満たされる練習」(永岡書店)がある。
───お坊さんになるまでの経緯は?
お寺の長男ということもあり、仏教を学ぶ大学に進学はしましたが、正直あまり真面目な生徒ではありませんでした。単位も全く順調に取れていませんでしたね。そんな折、祖父が亡くなり、遺品整理をすることになったんです。祖父が大事に大事にしまいこんでいたものの中に、幼い自分からの手紙がありました。「ぼくは将来、りっぱなお坊さんになりたいです」…そこにはそうしたためてあったんですね。それが、一念発起をするきっかけです。

それからは、猛烈に勉強しました。学校の図書館の、どの棚にどの本があって、どの本に何が書いてあるのか、わかるほど。あれほど熱意を持って学んだことはなかったです。やりすぎだったのか視力に影響が出て、眼科通いをするはめになりました。
───非常に幅広い活動をされていますが、その裏にはどんな想いやモチベーションがあるのでしょう。
まず私の活動が多伎にわたるそもそもの理由は、仏教を広めるために使える手段は全部使おう、と考えているからです。なぜそうまでして仏教を広めたいのか。それが恩返しだと思っているんです。

私は昔仏教により、大きな人生の悩みに対する答えを見つけました。当時、どういうめぐり合わせか、若くして友人が次々と亡くなっていったんです。その中には親友と呼ぶ人物も含まれていました。ただただ苦しいという気持ちを、感情を、どう受けとめたらいいのかわからなかった。そこに回答をくれたのが仏教です。

生けらば念仏の功つもり 死なば浄土へまいりなん…生きているうちにお念仏を唱えていれば、皆、死後は浄土にいける。ならば今は別れた親友にも、いつかは浄土で逢える。それを知ったときに、心が楽になりました。今、仏教を広めることに心血を注いでいるのは、その恩返しなんです。
───今後、目指すものや目標はあるのでしょうか?
仏教をきっかけとして、世の中をもっと幸せにできたらと考えています。仏教をベースとした、幸せな世の中のあり方を提案していきたいんですね。ただ私は、仏教が人々を幸せにする、といいたいわけではありません。

子供の頃、ベランダからきれいな夕日を見ていて思ったことがあります。夕日が実際美しいのか、美しいと思う自分の心があるからそう見えるのか、どちらだろう、と。

幸せの話も同じです。仏教は、人々を幸せにするのではなく、幸せだと思える心づくりをお手伝いするんです。そのために私は、あらゆる手をつくしたい。その姿勢を変えることなく邁進していくのが、今後の継続的な目標ですね。
Comment
井上広法さんの活動は、本当に多伎にわたる。「お坊さんとは、お寺にこもって瞑想したり読経したりしている人」というイメージをお持ちになっている方には、ぜひ同氏を知っていただきたい。栃木県宇都宮市の自坊で朝のラジオ体操をしていたと思ったら、午後は都内でセミナーコーチ。講演会へも登壇するし、この間は女性誌にもお名前が載っていた。「私は広法ですから、法(仏教)を広めるのが使命なんですよ」とのこと。なるほど、氏名が使命になったのだな…などと思いつつ、やはりこの方にそういう名前がつけられるというところから、仏縁なのだろうと感じた取材だった。
Private
─最近の僧侶としての活動は? お坊さんバラエティ番組「ぶっちゃけ寺」に長らく関わって参りました。同番組は終了致しましたがそこから生まれたご縁も多く、現在は講演会への登壇や企業向けセミナー講師など、自坊以外でも幅広く活動をさせていただいております。